キービジュアル

お知らせ​​​​​​​

2026-06-17
お役立ちコラム

なんでこんなに気になるの

「なんでこんなに気になるの?」

― 幼児期の“発達の特性”を理解するために大切な視点 ―

「同じ遊びを何度も繰り返す」
「予定が変わると泣いてしまう」
「大きな音を嫌がる」
「お友だちとの関わりが少ない気がする」

 幼児期のお子さまを育てる中で、このような姿に戸惑いや不安を感じる保護者の方は少なくありません。

 しかし、発達に特性のある子どもたちの行動には、“困らせよう”という意図があるわけではなく、その子なりの「感じ方」や「理解の仕方」が関係していることが多いと考えられています。

 
 今回は、臨床発達心理学や発達支援の視点から、幼児期に見られやすい発達特性について、やさしく整理してみたいと思います。

 
「見え方」「聞こえ方」が違うことがある
 発達に特性のある子どもたちは、周囲の刺激をとても強く感じたり、逆に気づきにくかったりすることがあります。
例えば、

·         掃除機やチャイムの音がとても苦手

·         洋服のタグが気になって着替えを嫌がる

·         光や人の多さで疲れやすい

·         少しの変化にも敏感に気づく

 こうした様子は、感覚の受け取り方の違いは、感覚特性(感覚過敏・感覚鈍麻)が背景にある場合があります。

 大人にとっては「少し気になる程度」の刺激でも、子ども本人にとっては強い不快感や不安につながっていることがあります。

 そのため、「わがまま」「気にしすぎ」と捉えるのではなく、“困っているサインかもしれない”という視点がとても大切です。

 
感覚特性は、過敏(刺激を強く感じすぎる)と鈍麻(刺激に気づきにくい)の両方があり、同じお子さまの中に混在することもあります。

 
「同じ」が安心につながることもある
  幼児期の発達特性の一つとして、"こだわり"の強さが見られることがあります。毎日同じ道を通りたがる、順番が違うと不安になる、同じ遊びを繰り返す、お気に入りの物をずっと持っていたがる――こうした行動は、「変化への不安」を和らげ、自分の気持ちを安定させるための行動であることがあります。

 
幼児期はまだ、見通しを立てたり、気持ちを整理したりする力が発達途中です。
そのため、“いつも通り”が安心につながる子どもは少なくありません。

特に発達に特性のあるお子さまは、予測できない出来事に強い不安を感じやすいため、「決まった流れ」が心の支えになっていることがあります。

 
こだわりをむりに崩そうとすると、強い不安やパニックにつながることがあります。まず気持ちを受け止め、「安心」を確保してから少しずつ変化に慣れていく関わりが基本となります。

 「話さない」ではなく、「伝え方が育っている途中」
 言葉の発達も、一人ひとり大きく異なります。単語がなかなか増えない、意味のはっきりしない音声の発話が多い(ジャーゴンとも呼ばれます)、オウム返しが多い、自分の気持ちをうまく説明できない――このような姿が見られると、保護者の方は不安になりやすいものです。
 言葉は「聞く」「理解する」「覚える」「口を動かす」「相手に伝える」など、多くの力を組み合わせて使う高度な発達機能です。そのため、言葉が育つスピードには大きな個人差があります。

  また、エコラリア(反響言語)と呼ばれる"オウム返し"も、現在の発達支援では「意味のない繰り返し」とは考えられていません。研究の積み重ねにより、即時エコラリア・遅延エコラリアにはそれぞれ積極的なコミュニケーション機能があることが明らかになっています。

 
 エコラリアは定型発達のお子さまにも一時的に見られる現象です。発達に特性のあるお子さまの場合、年齢を重ねても続くことがありますが、「相手と関わろうとしている」「言葉を覚えようとしている」「気持ちを整理している」など、コミュニケーションの芽として捉えられることが多くなっています。

 

「できない」より、「どうしたらできるか」が大切
 発達支援では、「苦手をなくす」ことだけを目指すのではなく、その子が安心できる環境を整える、得意な力を活かす、小さな成功体験を積み重ねることが大切にされています。

 
関わり方のヒント

絵や写真で予定を見える化する

短く・具体的に伝える

選択肢を少なくする

頑張れたことをすぐに認める

否定より肯定的な言葉かけを意識する

安心できる場所・逃げ場を確保する

 
 子どもは、「できないこと」を繰り返し指摘されるより、「できた経験」を積み重ねることで自信や意欲を育てていきます。これらの関わり方は、特性のあるお子さまだけでなく、多くの子どもたちにとって理解しやすく、安心につながりやすい方法です。

 
幼児期は「伸びる力」がとても大きい時期
 幼児期の脳は、さまざまな経験を通じて神経回路を活発に発達させる時期です(臨界期・敏感期とも呼ばれます)。現在は苦手に見えることも、周囲の理解、安心できる環境、適切な関わり、子ども自身の「やってみたい」気持ちによって、少しずつ成長していくことが少なくありません。

大切なのは、「周りの子と同じかどうか」だけを見るのではなく、その子自身のペースや育ちを丁寧に見守っていくことです。そして、気になることがあれば早めに専門家に相談することが、お子さまにとっても保護者の方にとっても大きな支えになります。

 
子どもの行動の背景には、必ず理由があります。
「どうしてこんな行動をするのだろう?」
そんな視点で関わることが、子どもの安心や成長につながる第一歩になるのかもしれません。

一覧に戻る

©2024 合同会社HARUKA