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2026-06-04
お役立ちコラム

さくらんぼ計算って

さくらんぼ計算って何のためにするの

― 計算のテクニックではなく、“数の理解”を育てる大切な学習です ―
 小学校1年生の算数で多くの保護者の方が直面するのが、「さくらんぼ計算」という壁です。「私たちが子どもの頃は、こんな面倒なやり方はしなかったのに…」「普通に暗記させちゃダメなの?」と疑問に思う方も少なくありません。

  特に、発達に課題のあるお子さまの場合、このさくらんぼ計算で激しくつまずいてしまい、親子で自信をなくしてしまうケースが多々あります。
  しかし、さくらんぼ計算は単に「答えを出すためのテクニック」ではありません。実は、子どもの脳内で「数の仕組み(概念)」を育てるための非常に重要なステップなのです。


そもそも「さくらんぼ計算」とは?
 さくらんぼ計算とは、繰り上がりのある足し算(や繰り下がりのある引き算)を行う際に、「数を二つに分解して、まずは『10のまとまり』を作る」という計算方法です。
例えば、「7 + 6」という計算をするとき、大人は頭の中で無意識に「13」と答えを出せますが、さくらんぼ計算では以下のようなステップを踏みます。

1.    「7」を見て、「あと3で10になるな」と考える。
2.   足す数の「6」を、「3」と「3」に分ける。(この分けた見た目がさくらんぼの実に似ていることから名付けられました)
3.   「7」に分けた片方の「3」を足して、きれいな「10」を作る。
4.   残ったもう片方の「3」を「10」に足して、「13」にする。

一見すると、遠回りをしていて非常に面倒な作業のように思えるかもしれません。では、なぜ日本の小学校では、あえてこのような教え方をするのでしょうか。

  なぜ、こんな「面倒なこと」をするのか?算数の土台となる「数の三項関係」
  さくらんぼ計算の最大の目的は、計算を早く解くことではなく、算数の最重要基盤である「数の三項関係」を子どもの頭の中に定着させることにあります。
  人間が「数」を真に理解するためには、以下の3つの要素が頭の中で完全に一致していなければなりません。

·  数詞(読み方):「ろく」という言葉
·  数字(記号):「6」という文字
·  数量(具体物):「●●●●●●(みかんが6個ある状態)」というボリューム感

  大人は「6」という数字を見ただけで、頭の中に瞬時に「これくらいの量だな」とイメージできます。しかし、小学校低学年の子ども、特に発達に課題のあるお子さまは、「数字は読めるけれど、その数字が表す『量』がピンとこない」という状態であることが珍しくありません。

  さくらんぼ計算は、頭の中で数を「分ける(分解)」、数を「合わせる(合成)」、そしてキリの良い「10のまとまりを作る」という一連の操作を通して、記号としての数字ではなく「数量のイメージを頭の中で動かす力」を鍛えているのです。


発達に課題のあるお子さまが、さくらんぼ計算でつまずく「脳の理由」
  もし、お子さまがさくらんぼ計算を嫌がったり、いくら教えてもできなかったりしても、それは決して「努力不足」や「怠け」ではありません。 脳の発達段階において、以下のような医学的・心理学的理由が隠れているからです。 

ワーキングメモリ(作業記憶)の負担が大きすぎる
  発達の特性を持つお子さまの中には、脳の記憶のキープ能力である「ワーキングメモリ」が少なめな子がいます。さくらんぼ計算は、「6を3と3に分ける」「片方の3を保持したまま、7と足して10にする」「その10に、残しておいた3を足す」といった、複数の情報を一時的に頭に留めて処理する高度なマルチタスクです。そのため、途中で「あれ?いま何するんだっけ?」と脳内がパンクしてしまうのです。

抽象的な概念の操作がまだ難しい
   小学校低学年の時期はまだ「具体的操作期」と呼ばれ、目に見えるもの、触れるものを通してしか論理的に考えられない発達段階にあります。ノートの上の数字だけで「6を3と3に分ける」という抽象的な操作を行うのは、発達のスピードによっては非常にハードルが高いことなのです。 

ペーパーを離れ、「具体物」で遊ぼう
   学校の宿題プリントでいくら「さくらんぼの絵」を書かせてもうまくいかない時は、思い切って鉛筆を置き、おはじき、ブロック、お菓子などの「本物の物(具体物)」を使いましょう。視覚や触覚(手の感覚)をフルに使うことで、脳への定着が劇的にスムーズになります。


おうちでできる「数の分解・合成ゲーム」
無理に計算式だけを覚えさせるよりも、
おはじきやブロックを使って
●●●●●●を
●●● と ●●●
●● と ●●●●
●と ●●●●●に分ける経験をたくさんすることが大切です。
例えば、6個のキャンディを用意します。

「ここに6個のチョコがあるよ。ママと3個ずつに分けて(分解)みようか」
「今度は、ママが4個、〇〇くんが2個に分けてみよう。合わせる(合成)と、やっぱり6個だね」
このように、日常の楽しいやり取りの中で、「数は自由に分けたり合わせたりできるんだ」という感覚(数量感)をたくさん体験させてあげてください。10の卵パックにボールを入れて「あといくつで10になる?」という「10の補数ゲーム」も効果的です。


計算の「スピード」よりも大切なこと
  さくらんぼ計算は、あくまで数を理解するための「手段」であって、「この方法で計算ができること」が最終ゴールではありません。
  もしお子さまが、さくらんぼ計算を飛ばして「7+6は13!」と暗記で答えを出せるなら、それはそれで一つの立派な能力です。また、学校のやり方にどうしても馴染めない場合は、無理に型に当てはめる必要はありません。
本当に大切なのは、以下の3点です。

·  数字の背景にある「量」を感じられているか

·  10のまとまり」という感覚が分かっているか

·  [数は分けたり合わせたりできる」と知っているか

  発達に課題のあるお子さまの場合は、計算のスピードよりも、実際の物を使いながら数の意味を理解していくことが大切です。
学校でさくらんぼ計算につまずいていても、「算数が苦手」ということではありません。お子さまの発達段階に合わせて、具体物を使いながらゆっくり数の感覚を育てていくことが、その後の計算力につながっていきます。

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