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2026-03-30
お役立ちコラム

脳の司令塔「実行機能」から紐解く、お子さまの成長のヒント

「“できない”のではなく、“まだ育っている途中”です」

「育て方のせい?」と悩むあなたへ:行動の背景にある脳の仕組み
  「さっき言ったばかりなのに、もう忘れている」「順番が待てない」「切り替えができずにパニックになる」……。日々お子さまと向き合う中で、こうした場面が繰り返されると、出口のない迷路に迷い込んだような気持ちになることもあるかもしれません。「私の育て方のせい?」と、ついご自身やお子さまを責めてしまうこともあるでしょう。しかし、最新の脳科学の視点に立つと、これらの行動の背景には、性格やしつけの問題ではなく、脳の**「実行機能」という発達過程が深く関わっていることがわかります。

 脳の中の「有能な司令塔」:自分をコントロールする3つの力
   実行機能とは、脳の最前部にある「前頭前野」がつかさどる働きのことで、いわば脳の中の「有能な司令塔」のような役割を果たしています。この機能は主に三つの要素で成り立っています。一つ目は、伝えられた指示を一時的に頭に留めておく「ワーキングメモリ」。二つ目は、衝動的な感情にブレーキをかける「抑制制御」。そして三つ目は、状況に合わせて考えを切り替える「認知の柔軟性」です。発達に課題のあるお子さまの場合、この「司令塔」の働きがまだ発達の途中であったり、特定の力に偏りがあったりすることがあります。これは脳のつながりの仕組みが個性的であるということであり、決して本人の努力不足ではないのです。

 成長の時計は一人ひとり違う:じわじわと育つ「実行機能」
   この実行機能は、生まれつき完成しているものではありません。大学などの研究によると、その歩みは非常に段階的です。例えば、2歳から3歳頃に「目の前の誘惑を数秒間ガマンする」という抑制の芽生えが見られ、4歳から5歳頃になると「ルールのある遊びを楽しみ、順番を待つ」といった社会的な力が育ち始めます。そして小学校に入る頃、ようやく「複数の指示を覚え、見通しを持って行動する」という複雑なタスクが可能になっていくのです。この発達スピードには非常に大きな個人差があり、特に発達に課題がある場合は、実年齢と実行機能の成長段階にギャップが生じることが一般的です。お子さまは今、周りと比べて「できない」のではなく、自分のペースで脳のネットワークを懸命に構築している真っ最中なのです。

 「根性」よりも「環境」を:脳を助ける“外付け”の工夫
  脳の機能が発達の途中にある時期に、無理に「頑張らせる」関わりを続けると、お子さまは失敗体験を重ね、自信を失いやすくなります。
  そこで大切になるのが、未熟な機能を外側から支える「環境の調整」という考え方です。
   例えば、記憶を補うために「言葉だけでなく絵カードで視覚化」したり、我慢を支えるために「待つ時間を短く設定して成功体験を積ませる」工夫をしたり、あるいは切り替えを助けるために「タイマーで終わりの時間を予告」したりすることです。これらは決して甘やかしではありません。視力の低い子がメガネをかけるように、脳の特性に合った道具を用意してあげることに他なりません。

「できた!」の快感が、脳のネットワークを強くする

  安心できる環境の中で「できた!」という達成感を感じたとき、お子さまの脳内ではドーパミンという物質が放出されます。このドーパミンは前頭前野の発達を促し、さらなる学習意欲を高める大切なガソリンになります。お子さまが今「できない」ことに注目するのではなく、「どうすればこの子が『できた!』と言えるか」を一緒に探していくことが、結果として脳の健やかな成長を支える近道となります。

未来の可能性を信じて:私たちはご家族の「伴走者」です

  お子さまは今、「できない」のではなく、「これから伸びていく途中」にあります。その歩みはゆっくりに見えるかもしれませんが、一つひとつ確実に積み重なっています。
  私たちは、ご家族とともにその成長に寄り添いながら、お子さまが安心して力を伸ばしていける環境を整えていきたいと考えています。
  焦らず、その子なりのペースで。

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